【効果なし】大ブームのアルガンオイル!その実態を化学者がぶった切る。
サロン用ヘアオイル「モロッカンオイル」で人気に火が付いたアルガンオイル。
アルガンオイルは髪だけでなくスキンケアにも使えるということで、ジョンマスターオーガニックやニールズヤードなどのオーガニック系スキンケアブランド各社が販売に乗り出しています。
また、最近はドラッグストアでもアルガンオイル使用のヘアケア商品をよく見る様になりました。
オーガニックコスメに関心のない人でも、馴染み深いオイルになっているのではないでしょうか?
アルガンオイルブランドが確立しつつある今、改めて現役化学研究員と一緒にその正体に迫っていきたいと思います!!
化学でその正体、あばいてやるぜ!
モロッコから来た「アルガンオイル」とは?
アルガンオイルは、アカテツ科のアルガンの木の実から採取されます。
アルガンの木はモロッコ南西部の限られた地域にしか生息しておらず、砂漠地帯の乾燥と高温の中でも枯れずに生き延びることから自然保護の対象にもなっています。
希少性が高い植物なんだね
また、原料となるアルガンの仁核から、1~2%しかオイルが採取できません。植物が稀少な上に採油立が低いんですね。
油はもっと少ない。と。
そんなアルガンオイルが、全身に使えて保湿力やアンチエイジング効果が高いということで、美容業界から大きな注目を集めています。果たして、アルガンオイルは本当に美容効果が高いのか?
成分分析をしながら化学的に検証してみたいと思います!!
アルガンオイルの成分と効果
アルガンオイルの効果でよく言われているのが以下の2点。
- 皮脂に近く肌馴染みが良い。
- ビタミンEが多く抗酸化作用が高い
以前、オーガニック系コスメショップの店員さんにアルガンオイルの効果について聞いたとき、
皮脂に近いので肌馴染みが良く、保湿力が高いんです。
と、おっしゃっていましたが・・・。アルガンオイルの成分と皮脂の成分を比べ、真偽の程を確かめたいと思います!
「アルガンオイル」と「人の皮脂」の比較
まず、皮脂とアルガンオイルの組成をざっくりと比較すると、以下の図のようになります。
アルガンオイルは全成分が脂肪類で出来ています。一方、皮脂はスクワレンが10%、ワックスが25%、残り約65%が脂肪類で構成されています。
つまり、『アルガンオイルは最大でも65%しか、皮脂と一致しない』ことが分かります。
脂肪類が全く同じだったとしても一致率65%!
ここからさらに、アルガンオイルと “皮脂中の脂肪類” がどれくらい似ているかの議論になります。
脂肪類の類似度は”脂肪酸組成” を比較すれば分かります。さっそく、オリジナル美容オイルの作成の際に作成した表で、”皮脂中の脂肪類”とアルガンオイルの脂肪酸組成を比べてみましょう↓
これを見ると、アルガンオイルは、 “皮脂中の脂肪類” と比べてパルミチン酸とパルミトレイン酸の比率が低いことがわかります。逆に、酸化しやすい「リノール酸」の比率がかなり高くなっています。
脂肪酸組成(%) | パルミチン酸 | パルミトレイン酸 | オレイン酸 | リノール酸 |
アルガンオイル | 13 | 0 | 47.5 | 32.5 |
人の皮脂 | 25 | 9 | 48 | 11 |
結果、アルガンオイルと “皮脂中の脂肪類” は近い組成ではないことが分かります。
脂肪類の組成も皮脂と結構違ってるゾ
リノール酸の酸化速度はオレイン酸の約10倍速いため、リノール酸が多いアルガンオイルは酸化に弱いことがわかります。
別に皮脂に近い組成でもなく、酸化にも弱い・・・
ということで、アルガンオイルは皮脂に近くないし、取り立てて肌馴染みが良いわけでもない。
ちなみに、調べた中で”皮脂の脂肪類”に一番近い脂肪酸組成をしていたのは「馬油」です。
脂肪酸組成(%) | パルミチン酸 | パルミトレイン酸 | オレイン酸 | リノール酸 |
アルガンオイル | 13 | 0 | 47.5 | 32.5 |
馬油 | 24.9 | 7 | 35.5 | 10.8 |
人の皮脂 | 25 | 9 | 48 | 11 |
あれ、ほとんど一緒じゃん!
皮脂への近さや肌馴染みの良さでいえば、馬油の方が確実に上と言えそうです。そういえば、一時期SNSで馬油クレンジングで「顔から砂利が出る!」と話題になったことがありましたね。
各キャリアオイルの脂肪酸組成の詳細はコチラの記事で詳しく紹介しています!↓
アルガンオイルの「ビタミンE」はそれほど多くない?
人肌に近くなかったのは期待はずれだけど、アルガンオイルの効果はそれだけじゃないらしいよ?
アルガンオイルの効果としてよく言われることの2つ目は、「ビタミンEが豊富で抗酸化作用が高い!」という点ですよね。この点についても吟味していきましょう!!
各キャリアオイルのビタミンEの含有量をまとめた表がこちら↓
参考1:https://cosmetic-ingredients.org/antioxidants/3219/
参考2:https://remio.jp/archives/3554
アルガンオイルはビタミンEが多い方ではありますが、実はとうもろこし油や大豆油の方が多いんです。
もしや・・・!?
大豆油は酸化安定性が低いので、大豆油からビタミンEだけを抽出した『ビタミンEオイル』が、酸化防止剤として化粧品に汎用されています↓
そう、、。気づかれた方もいるかもしれませんが、アルガンオイルは酸化しやすい脂肪酸組成をしているのに、ビタミンEの含有量が取り立てて多いわけではないんですよね。
抗酸化作用を謳うのであれば、ビタミンEの含有量以前に、そのオイルの酸化安定度が重要です。
抗酸化作用の重要度 =ビタミンE含有量 < 酸化しにくさ
人で例えるならば、以下のような感じです↓
- 酸化安定性が低い油+ビタミンE =アラサー女性+美容サプリ
- 酸化安定性が高い油 =女子高生 (そもそも若い)
確かにもともと若い(酸化しにくい)に越したことないよね。
さらにさらに、オイルの脂肪酸組成は変えられないですが、ビタミンEは後から添加できるんです。ということで・・・
酸化しにくい油にビタミンEを加えた方が抗酸化力が高くなります
抗酸化力もそんなに高くない。と。
繰り返しますが、アルガンオイルは酸化安定性が低い油です。アルガンオイルでは、その酸化安定性の低さを補うためにビタミンEが使われてしまいます。
酸化しやすいけど、ビタミンEのおかげで何とか普通の油になってるってカンジなのね。
ビタミンEの含有量の多さを見て「アンチエイジングだ!」というのは少し早とちりかもしれません。
アルガンオイルの成分評価まとめ
アルガンオイル
成分評価:★★☆☆☆
酸化しやすい上に、美容効果も期待薄。。とにかくコスパが悪い!
「アルガンオイルは人肌と同じ成分」と言われている記事も目にするほど、どんどんアルガンオイルの効果に尾ひれがつき、過大評価されているように感じます。。
生産量が少なく、希少なオイルというだけあって高価ではあります。しかし、成分をしっかり比べてみると、効果はそれほど期待できなさそうです。
やはり、品質と人気 (お値段) は比例しないようです。
偶然ヒットしたってカンジかな??
マーケティングが上手かったんだろうね・・・
おまけ モロッカンオイルの成分評価
ちなみに、、、アルガンオイルを使ったヘアオイル「MOROCCANOIL(モロッカンオイル)」についてはコチラ。
モロッカンオイル
成分評価:★★☆☆☆
もはや「アルガンオイル」でも「モロッカン」でもない。
え、、、、。
アルガンオイルの火付け役ともなった「モロッカンオイル」。七瀬もエヌドットポリッシュオイルを買ったとき、美容師さんにドライヤー前のヘアオイルとして勧められました。
こちらの成分を見てみると、
〈全成分〉
シクロメチコン ジメチコン 香料 アルガニアスピノサ核油(※) アマニ油 赤225 黄204
※ アルガニアスピノサ核油 =アルガンオイル
一番目と2番目にシリコン系の化合物が配合されています。はい。シリコンで髪の毛をコーティングして、つるつるするだけのオイルです。
シリコンオイルの毒性は特に問題ないのですが、香料や着色料が使われているのが気になります。。
赤○○みたいなタール由来の着色料は安全性の疑惑が多く、微量でも蓄積するから避けた方がいいよ
しかも、表示順からすると「アルガンオイルより香料の方が含有量が多い」又は「それぞれ含有量が1%以下」のどちらかということになります、、(含有量が1%以下の成分は順不同で記載可能)
どちらにしてもアルガンオイル主体のオイルとは言えないですね。
なんでこれがアルガンオイルの火付け役になるんだろう・・・?
さらに、アルガンオイルと並んで配合されている「亜麻仁油」はリノレン酸という非常に酸化しやすい脂肪酸を約58%も含んでいます。
酸化防止剤のトコフェロール(ビタミンE)も配合されていないので、油焼けを起こさないか心配です。極めつけに、お値段もそこそこするんですよね。
モロッカンオイル オイルトリートメント(定価)
25㎖ 1,760円(税込)
100㎖ 4,730円(税込)
シリコンの効果で表面のツルツル感が出るので、使用感が良いと感じる方が多いかもしれませんが、これはおすすめできませんね。
「アルガンオイル」よりオススメはマカダミアナッツオイルだ!
で、結局なんのオイルがいいの??
ズバリ!「マカダミアナッツオイル」
マカダミアナッツオイルは酸化安定性が高く、皮脂組成にも近いオイルです。髪にも肌にも使えて、肌馴染みはアルガンオイルより「マカダミア」が断然いいです!!
馴染みすぎてもはや消えちゃうよね。
さらに、若い人の肌に多い「パルミトレイン酸」を多く含んでいて、脂肪酸組成的にも優秀なオイルです。(マカダミアナッツオイルの詳しい成分情報などはコチラで解説しています。)
脂肪酸組成は最高峰だったよね〜
また、食べることでも血管が柔らかくなり、動脈硬化を防げるという健康効果の高いオイルでもあります。(血管内のパルミトレイン酸の比率が上がり、柔軟性が増すことが分かっています)
吉沢は気に入りすぎて大人買いしちゃった。
(↑吉沢はこれを会社の人と一緒に10㎏買いました。)
業者通り越してもはや工場ダネ。
少量でも、アルガンオイルに比べると手を出しやすい価格なので、ヘアオイルやフェイシャルオイルの代わりにぜひ試してみてください!
クラウドファンディングで皮脂そっくり美容オイルの商品化を検討中
美容業界の現状を重く受けとめ、化学者吉沢が皮脂そっくりの良質な美容オイルを開発しています↓
本オイルを一般の人にも使って貰いたいと思い、クラウドファンディングでの商品化を検討しています。是非、フォローして頂けたらと思います。
フォロワー様がある程度増えた段階で開始する予定ですので、どうぞ宜しくおねがいします!
ではまた!!