防腐剤を避けたい!手作り化粧水の利点とジレンマ
みなさん、どのような化粧水を使用していますか?
ココンソワローションのように、化学者としてオススメできる化粧水はいくつかありますが、私は『化粧水は自作が一番いい』という結論に達しています。
世にある多く化粧品には、何かしらの防腐剤が含まれています。品質保持のためには必要なことだと思います。一方、防腐剤が肌を刺激し、さらに皮膚常在菌を弱らせることも事実だと思います。
肌を刺激せず、常在菌への影響も少ない化粧水は自作すれば簡単に作れます。難点は腐りやすいこと、都度作る必要があってめんどくさいことです。
都度作成は続かないよね・・
肌を刺激せず、常在菌への影響も少なく、作るのも簡単で腐らない化粧水があればなぁ・・・と考えていた矢先、そんな化粧水の作り方・使い方を思いついたのでした。
化粧水設計の方針
『濃い化粧水』をまとめて作っておき、『薄めて』別容器に移して使う。そういう化粧水にすればいいのです。2週間に1回薄めるくらいなら、大した手間にはならないですよね。
『濃い状態』では菌は増殖できず、『薄めた状態』なら皮膚常在菌に悪影響しない。
その手が合ったか!
理想的な化粧水を、防腐力のある保湿剤を駆使すれば・・・作れます!
早速作り方を見ていきましょう!
基本の保湿剤
化粧水の基本となる保湿剤は『グリセリン、ベタイン、ブチレングリコール、ヒアルロン酸ナトリウム』です。これらは、刺激・防腐力が極小の純粋な保湿剤たちとなります。
薄めた後、以下の配合量になるのが理想的↓
ヒアルロン酸ナトリウム:0.05%
ベタイン:1%
ブチレングリコール:5%
グリセリン:5〜15%
※ベタつきを抑えたい場合、グリセリンとブチレングリコールの量を逆にします。
なお、ニキビができやすい人はグリセリンの使用を控えたほうがいいです。これを踏まえて、濃い化粧水の組成を作ります。
参考サイト1:https://cosmetic-ingredients.org/moisture/%E3%83%99%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%B3%EF%BC%88%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%A1%E3%83%81%E3%83%AB%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%82%B7%E3%83%B3%EF%BC%89%E3%81%AE%E5%8A%B9%E6%9E%9C%E3%81%A8%E6%AF%92%E6%80%A7/
参考サイト2:https://ameblo.jp/rik01194/entry-12300506307.html
防腐力のある保湿剤
今回のキー素材、防腐力のある保湿剤は『ペンチレングリコール、ヘキサンジオール』です。
高濃度で使うと刺激を感じることがありますが、ペンチレングリコールは濃度3%以下、ヘキサンジオールは濃度0.5%以下なら刺激がほとんどありません。
そんな都合のいい成分があるのね
実際、マンダムから『パラベンより刺激の少ない防腐剤』として報告がでています。
また、以下の防腐試験結果が各社から出ています↓
https://astamuse.com/ja/published/JP/No/WO2014115726
https://www.adeka.co.jp/chemical/catalog/pdf/adeka_CHG.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sccj/46/4/46_295/_pdf
MICとは、それ以上その成分を入れると細菌が増殖できなくなる濃度のこと。数字が小さいほうが強い防腐剤です。
パラベンとフェノキシエタノールはすごく強い抗菌剤だよね
ブチレングリコールは非常に弱く、ペンチレングリコールとヘキサンジオールは比較的活性のある防腐剤と読み取れます。
詳しい計算は別記事で解説しますが、濃い状態で防腐効果を発揮させるために以下の量が必要です↓
(ブチレングリコール:20%)
ペンチレングリコール:4%
ヘキサンジオール:1%
ヘキサンジオールは濃度0.5%以下なら皮膚刺激の懸念が少ないので、薄めた時は0.5%以下になるように使えば良いわけです。
参考1:https://utp.co.jp/column/column-10373/
参考2:https://eijingukea.nahls.co.jp/seibun/b/penntirennguriko-ru/
参考3:https://www.recolor.jp/seibun/pentylene_glycol.html
参考4:https://www.adeka.co.jp/chemical/catalog/pdf/adeka_CHG.pdf
各成分のまとめ&濃い化粧水のレシピ&使い方
成分のまとめ
先程までの話をまとめると
濃い状態では
(ブチレングリコール:20%)
ペンチレングリコール:4%以上
ヘキサンジオール:1%以上
で、薄い状態では
ベタイン:1%
ブチレングリコール:5%
グリセリン:5〜15%
ヒアルロン酸ナトリウム:0.05%
ペンチレングリコール:3%以下
ヘキサンジオール:0.5%以下
になるようなレシピ&使い方をすればいいのです。
濃い化粧水のレシピ&使い方
【完成したレシピ】
ベタイン:4%
ブチレングリコール:20%
グリセリン:20(〜60%)
ヒアルロン酸ナトリウム:0.2%
ペンチレングリコール:4%
ヘキサンジオール:1%
水:34.6%(〜10.6%)
これで菌が繁殖しない濃い化粧水になります。沢山作り置きしちゃいましょう!
【使い方】
2〜3週間に一回、濃縮化粧水を4倍に薄めて別の容器に移して使います。濃い化粧水大さじ1と水大さじ3を混ぜると簡単。
薄めた後の化粧水の成分はこうなります↓
ブチレングリコール:5%
グリセリン:5%〜15%
ヒアルロン酸ナトリウム:0.05%
ペンチレングリコール:1%
ヘキサンジオール:0.25%
水:81.65%
以上、『防腐剤フリー』『皮膚刺激なし』『常在菌への影響も軽微』『作成も楽』な化粧水の完成です。
意外と簡単だね
吉沢はビタミンC誘導体 (アスコルビルリン酸ナトリウム) も入れ、美白化粧水にして使っています。
刺激がなく、スーッと浸透して使用感は最高です。
次回以降、この化粧水に機能付加をしていきます。お楽しみに!