プチプラでも続々登場!全身に使える「キャリアオイル」が今キテる!

前回紹介した「アルガンオイル」に始まり、「ホホバオイル」、「スクワランオイル」などなど、、「○○オイル」という、キャリアオイルをよく見かけるようになりました。
髪、顔、体まであらゆる部位に使用でき、肌の保湿やマッサージオイルとしておすすめされています。
しかし、どのオイルを選んだらいいかわからず、値段やイメージで購入してしまう人も多いのではないでしょうか?
ヨシナナ生活研究所では、キャリアオイルの違いと選ぶときのポイントを化学目線で解説していきたいと思います!

あなたもこれでオイルマスター!!
無印良品のボディオイル6種類を比較!

植物から採取されるキャリアオイルには、実は100種類以上もの数があります。
すべて分析したいという気持ちは山々なのですが、あまりにも多すぎる。。
ということで今回は、最近化粧品にも力を入れている「無印良品」で取り扱っている6種類の主要なキャリアオイルをピックアップ!

無印は化粧水も結構いいって聞くよ。
はじめに、無印良品が公式サイトに載っているそれぞれのオイルの特徴はコチラ。

(参照:無印良品公式サイトより)
とても分かりやすくまとまっていて、これを参考に購入する方も多いのではないでしょうか。
ここでは、使用感についての説明書きがメインとなっています。キャリアオイルを比較した記事でも、使用感や目的別の使い方などが紹介されているのを多く見かけます。
もちろんそれも大事な情報ではあるのですが、使用感が良くても品質の悪いオイルを使い続けると、知らず知らずのうちに肌へのダメージを与え続けることになってしまいます。
ここからは、脂肪酸組成や皮膚組成との比較をしながらその品質を見極めていきたいと思います!
オイルの質を計る「脂肪酸組成」を要チェック!

良質なオイル選びで重要になるのが、ズバリ「脂肪酸組成」です。
脂肪酸組成を見ると、以下のようなことを分析することができます。
特に、酸化のしやすさは肌へのダメージやアンチエイジング効果など、オイルの質に直結する大事な要素なのですが、実際に使用してもわからない部分です。
なのでしっかりと脂肪酸組成を確認していく必要があるんです。

確かにこれはレビューとか口コミじゃわからないネ、、。

肌馴染みの良さも微妙な違いは感じ取るのが難しいよね。
とはいっても、脂肪酸組成ときいてピンとくる方の方が少ないと思います。。。
まずは基本情報から見ていきましょう!
「脂肪酸」の基本情報

エヌドットポリッシュオイルの成分分析でも解説した様に、質感と酸化のしやすさは炭素と二重結合の数によって推測することができます。
これを踏まえて、主要な脂肪酸の特徴をまとめるとこんな感じ。
炭素数 | 2重結合数 | 酸化しやすさ | 質感 | |
ステアリン酸 | 18 | 0 | 酸化しない | 固め |
オレイン酸 | 18 | 1 | 酸化しにくい | やや固め (しっとり) |
リノール酸 | 18 | 2 | 酸化しやすい | 柔らかめ |
リノレン酸 | 18 | 3 | 非常に酸化しやすい | すごく柔らか |
パルミチン酸 | 16 | 0 | 酸化しない | やや固め |
パルミトレイン酸 | 16 | 1 | 酸化しにくい | 柔らかめ |
論文情報では、オレイン酸を基準とした時のリノール酸の酸化速度は10~12倍、リノレン酸は16~25倍とされています。

リノレン酸とリノール酸がとにかくやばそうだね。(メモメモ)
ヒトの皮脂組成
肌馴染みの良さを計るために「ヒトの皮脂組成」を確認してみましょう!
ヒトの皮脂は、以下のように「スクワレン」、「ワックス」、「脂肪類」の三つの要素から成り立っています。

一方、キャリアオイルのほとんどは、脂肪類100%で構成されています。
(※後ほど解説しますが、ホホバオイルとスクワランオイルは、実は脂肪類ではありません。)
この皮脂の「脂肪類」の脂肪酸組成とキャリアオイルの脂肪酸組成を比べて、その比率が近ければ近いほど、肌馴染みがいいということになります。
皮脂の脂肪類65%の中の脂肪酸組成の内訳はコチラ!

半分近くがオレイン酸で構成されています。また、若い人ほどパルミトレイン酸の割合が多くなる傾向にあります。
見ての通り、脂肪酸の内訳が完全に一致していても、キャリアオイル単体では人肌と同じ成分にはなり得ないんですよね。。

「○○オイルは人肌と同じ成分」っていう説明もよく見かけるけどね、、。(笑)
それではこの皮脂の組成と脂肪酸組成の特徴を踏まえて、各キャリアオイルの成分を見ていきましょう!
キャリアオイルの成分分析
オリーブオイル
100㎖ 890円(税込)
まずは食用としてもメジャーなオリーブオイル。今回の6種類の中で一番安価なオイルです。
脂肪酸組成はコチラ!

ほとんどがオレイン酸で構成されており、重めの質感と酸化のしにくさが特徴です。皮脂組成と比較すると、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸の比率が少ないです。
特にこれと言った特徴は無いですが、6種類の中で一番値段も安いので使いやすいと思います。
クレンジングやマッサージオイルに使ってみてはいかがでしょうか?
オリーブオイル
成分評価:★★★☆☆
成分は普通。安価なので多用しやすい!
スウィートアーモンドオイル(アーモンドオイル)
100㎖ 1,190円(税込)
ナッツの王道「アーモンド」から抽出された「アーモンドオイル」(別名スイートアーモンドオイル)
ビタミンEが豊富なアーモンドミルクが流行っていますが、オイルはどうでしょうか。

オレイン酸が主体ですが、「リノール酸」も約26%含まれており比較的酸化しやすい組成をしています。
また、ビタミンE含有量で有名なアーモンドですが、実は100g当たり39.2gで意外と少ないです。(抗酸化をうたうには心もとない量です)
他のキャリアオイルのビタミンE含有量と比較すると以下のようになります。

ビタミンE(αトコフェロール) | 39.2 mg(100g当たり) |
アーモンドオイルのビタミンEは少ない方だと言えそうです。
皮脂組成と比較すると、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸の比率が少なく、リノール酸は倍以上の比率で含まれています。肌馴染みが良いとも言えなさそうです。
スイートアーモンドオイル(アーモンドオイル)
成分評価:★★☆☆☆
酸化しやすく、ビタミンEの含有量も多くないためおすすめできない。
(※)ホホバオイル
100㎖ 1,590円(税込)
ホホバオイルは名前にオイルが入っていますが、他の植物オイルのような「脂肪類」ではありません。
ホホバオイルは成分の97%が「ワックス」という成分で出来ています。
ワックスはヒトの皮脂の25%を占めている成分でもあります。

肌馴染みがよく、酸化安定度も高いので使い勝手の良いオイルです。
ちなみに、ミツロウのようなロウもワックス類に当たりますが、融点が高く常温では個体です。
天然由来のワックスで液状のものはホホバオイルだけなのです。

人口皮脂の作成に挑んだ時もホホバオイルは必須だったよ!
柔らかい質感に調節できるので、ヘアオイルづくりや、ボディクリームづくりにも多用しています。
ホホバオイル
成分評価:★★★★☆
酸化の心配&肌へのダメージが少なく安心して使える!若干の保水力もあり手作りコスメに大活躍。
(※)オリーブスクワランオイル(スクワランオイル)
100㎖ 1,790円(税込)
スクワランオイルは他の植物オイルのような「脂肪類」ではなく、「炭化水素類」という分類になります。
ワセリンとかの仲間で、皮膚に含まれる「スクワレン」 に相当するオイルです。

スクワランには、オリーブオイル、サトウキビ、深海サメ由来のものがあり、
上記のものから「スクワレン」として取り出し、水素添加して「スクワラン」にしています。
スクワランの特徴は以下
✓構造はワセリンなどと同じ “炭化水素類”
✓酸化心配は全くない
✓皮膚に対する刺激もない
✓保水力は無いが、水分蒸発を抑制する効果 (蓋の役割) が高い
ワセリンを液体にしたようなもので、安心して使用できます。

そのうちヒト由来のスクワランオイルとか出てきそうだね。

(搾取される前に逃げなければ。。)
スクワランオイル
成分評価:★★★★☆
酸化&刺激の心配がなく安心して使える。保水力が乏しいので一緒に使う化粧水が重要。
ローズヒップオイル
50㎖ 1,490円(税込)
※取り扱いは50㎖のみ。
ローズヒップと言えばハーブティーが有名ですが、希少なキャリアオイルとしてオーガニックブランドのトリロジーからも販売されている「ローズヒップオイル」。
ローズヒップオイルをグーグル検索すると、以下のような効果が多く出てきます。
〈上記の参照情報〉
・https://himitsu.wakasa.jp/contents/rose-hip/
・https://www.timeless-edition.com/archives/1903
・https://woman.excite.co.jp/article/beauty/rid_Mylohas_201902_185285pvn_rosehip_benefits/pid_2.html
これらの真偽はいかに、、。
ローズヒップオイルの脂肪酸組成と評価はコチラ。


あれ、、リノール酸とリノレン酸ってやばいんじゃなかったっけ???
そう、このオイル、、ほとんどが酸化しやすいリノール酸と非常に酸化しやすいリノレン酸で構成されています。
現役化学研究員吉沢さんが
「絶対に原液で使用しない方がいい。」
と警鐘を鳴らすほど、要注意なオイル。
酸化しやすいので、暗所で冷蔵保存が必須。管理が大変というのもマイナス要素です。。

でも、それ以上に美容効果が結構あるんじゃないの?
そう思いたいところなのですが、、
巷で言われているほどの美容効果があるのか疑問なのです。
カロチノイドが豊富なのは本当!だが・・・
ローズヒップ 100g 中には『2350 μg の βカロテン、2000 μg のルテインなど』が含まれます。『カロテン含有量が多いことで有名なほうれん草100g 中に含まれる量は5400μg』なので、それと同じくらいです。含有量を%に直すと0.004%です。
問題はこの含有量で脂肪酸の酸化を抑えれるのか?という量的観点。
徹底的に調査した結果・・・
こちらの論文を発見しました。
『0.02%以上のβ-カロテンを加えた場合に油の酸化抑制が顕著になり、さらに濃度依存的に酸化に強くなる』というデータが読み取れます。
つまり・・・
ローズヒップオイルの0.004%では全然足りず、酸化抑制に不十分であることが分かります。

ローズヒップオイルおそろしい。
脂肪の酸化は”ラジカル連鎖反応”だから、加速度的に反応するんだよね・・・
ビタミンCそのものを肌に塗っても効果は薄い!
ビタミンCには『コラーゲン生成の促進&メラニンの淡色化&ドーバキノンの還元(メラニン生成阻害)』 による美白・アンチエイジング効果があります。
しかし!!ビタミンCは水溶性且つ安定性が低いので、皮膚に浸透しづらく効果を発揮しにくい欠点があり、そのままの形で使用することはほとんどありません。
通常、美白化粧水には『ビタミンCを安定化したり、脂溶性を上げて浸透しやすくする』などした「ビタミンC誘導体」の形で使用されます。

アスコルビルリン酸Na (水溶性) とか、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル (脂溶性) がオススメ!
化粧品成分オンラインに『ビタミンC誘導体類の比較データ』が載っていますので、興味があればご参考下さい!
リノール酸の皮膚再生効果は情報源を見つけられず。
リノール酸が皮膚再生に効くという情報をいくつか見ましたが、根拠となる論文や書籍情報は見つけられませんでした。。(論文情報をお持ちの方、教えて下さい!)
ちなみに、リノール酸は「オメガ6脂肪酸」のことです。
食事の話にはなりますが、オメガ6は過剰摂取するとアレルギーや動脈硬化を引き起こす要注意脂肪酸です。

あれ、、ローズヒップオイルってもしかして効果なし??
ローズヒップオイルの使用感が好きでどうしても使いたい場合、
酸化防止のためにビタミンEオイルを0.5%程添加し、別のキャリアオイルで5〜25%程度に薄めて使用してください。
なお、ハーブティーとして嗜む分にはローズヒップは非常に優秀です◎
ということで、ローズヒップオイルの成分評価はコチラ。
ローズヒップオイル
成分評価:★☆☆☆☆
非常に酸化しやすく原液で使用するのはキケン。効果もコスパも×の要注意オイル!
アルガンオイル
100㎖ 4,190円(税込)
最後に、6種類の中で一番の高級品「アルガンオイル」。
アルガンオイルについては以前、個別に解説しましたが、改めて脂肪酸組成を確認してみましょう。


リノール酸が結構多めだよね。
抗酸化作用が高いと言われがちなアルガンオイルですが、脂肪酸組成的には酸化しやすい部類のオイルです。
また、抗酸化作用をウリにするアルガンオイルのビタミンEは 100g 当たり 80mg 。
確かに多い方ではあるのですが、、
そんなに濃度が高いわけではありません。オイル系の製品は、オイル100g に対して 200mg〜800mg 程のビタミンEオイルを後から添加します。
つまり、アルガンオイルの 80mg は雀の涙ほどの効果です(汗)
アルガンオイルの詳しい解説はコチラを参考ください↓
ということで、、アルガンオイルの成分評価は
アルガンオイル
成分評価:★★☆☆☆
酸化しやすい上に、美容効果も期待薄。。とにかくコスパが悪い!
まとめ
以上の結果から、この中で現役化学研究員吉沢がオススメしたいのはコチラ!
安定した組成で肌ダメージもなく安心して使える!スクワランオイルは保水力がないため、セラミド配合製品など保水力の高い化粧水と一緒に使用するとより効果的です◎
逆に、おすすめできないのがオイルがこの3つ。
酸化しやすい組成をしており、原液で使用するには肌ダメージ (油焼け) が心配。美容効果もほとんど期待できず。特に、ローズヒップオイルとアルガンオイルはコスパも悪い。
キャリアオイルを使ったことがない方や、とりあえずキャリアオイルを試してみたい方は、お求めやすいオリーブオイルから始めてみるのがいいかもしれません◎
いかがでしたでしょうか。
意外な結果も多かったかもしれませんが、これが皆さんのオイル選びの助けになれば幸いです。
ちなみに、、ヨシナナが一番気に入って愛用しているのはこの6種類のどれでもなく、マカダミアナッツオイルです(笑)。

酸化しづらいし、肌が柔らかくなるよ。
市販ではなかなか見かけませんが、楽天で少量でもゲットできるので、気になった方はぜひコチラもお試しください!◎