【お金】絶対知っておきたいお金の教養をゼロから一緒に勉強しよう|〜第四章:銀行業とお金の関係〜

お金と社会の教養
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お金持ちになるためのお金の勉強|〜銀行業とお金編〜

今回はお金の中でも特に重要な銀行業ついて記載していきたいと思います。

前章をお読みでない方は、以下のリンクからお読み頂けますと幸いです。

一連の記事を読むことで、読者の皆様のお金に関する教養に貢献できるよう最善を努めます!

※参考図書はこの超超超分厚い名著『お金と人生』↓

ではいきましょう!!

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一般的な銀行のビジネス|儲けのしくみ

初めに「銀行預金」で馴染み深い一般的な銀行(民間銀行)について、ビジネスのしくみと銀行の正体について勉強していきたいと思います。

突然ですがみなさん、「預金」ってなんだと思いますか??

吉沢

唐突すぎる(笑)

銀行がお金を保管してくれる、金庫のようなものだと思っている方が多いのではないでしょうか?

・・・実は、その解釈は全くもって間違っています。「預金」に対する認識を改めることこそが、銀行業というビジネスの正体を理解する為に必須の前提知識となります。

七瀬

え!?お金を預けていつでも引き出せる便利な金庫じゃなかったの?!

ということで、預金の正体と銀行のもうけのしくみを見ていきましょう。

「預金」の正しい認識は「銀行にお金貸している」というものです。逆に、銀行にとって「預金」とは、消費者に対する「借金」なのです。預金を通じて数多の消費者から「借金」をすることで、銀行にまとまった額のお金が集結することになります。

吉沢

銀行にとって「預金」とは「超低金利で消費者から借金している」ということなんだよね。イメージしにくいけど。

銀行は、預金で手にしたお金を”運用”します。すなわち、政府にお金を貸したり(≒国債の購入)、個人や企業ににお金を貸すこと(≒融資)によって金利を取るんです。第二章で紹介したように、銀行はかなりの額の国債を購入していましたよね。

吉沢

個人の融資(借金)は特に馴染み深いよね。

要するに、顧客から「預金」という形で低金利(0.01%程)でお金を借り、国・個人・企業などに「融資」という形で高金利(3%程)でお金を貸す。借りた金利と貸した金利の差(この場合だと3.00ー0.01=2.99%)を得るビジネスが銀行です。

これも麻生太郎さんがとても分かりやすく解説なされています。

吉沢

金利差2.99%だと、集めたお金が1兆円あれば年間299億円の利益になるよね

という具合に、借りたお金を貸して利益を得る、お金の貸し借りの仲介役が銀行です。実際には「信用創造」という仕組みにより、最初に借りたお金の何倍もの金額を運用しています。

七瀬

現金を保管してるわけじゃなかったんだ!

上記のような仕組みなので、銀行は預金額と同じ額の現金を銀行内に所持していないんです。従って、消費者全員が預金を一斉に引き出すと銀行はほぼ確実に倒産します。

吉沢

みんなが一斉に全貯蓄を引き出すことって、まあ起こらないんだけどね

ホリエモンこと堀江貴文さんが貯金信仰を厳しく避難されていますが、貯金の仕組みが分かればその理由にも納得が行くのではないでしょうか?

吉沢

貯金は直近3ヶ月の生活に必要な程度に留め、残りはビジネス構築に投資したり株や債権を購入した方がいいということだね

繰り返しですが『民間銀行は借りたお金と貸したお金の金利差で儲ける』ということを脳裏に焼き付けた上で、続きの内容をお読み下さい。

まず、民間銀行の仕組みを前提に、もっとマクロな視点で銀行業全体を見ていきましょう。

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民間銀行以外の銀行|銀行の種類

実は銀行には、民間銀行以外にも以下の種類の銀行があります↓

1.超国家銀行
2.中央銀行
3.民間銀行
4.その他の銀行

1.超国家銀行

国際通貨基金(IMF)世界銀行欧州復興開発銀行(EBRD)など複数の国が共同して設立した銀行のことを指します。経済破綻に直面した国に対する最後のお金の貸し手としての役割を担っています。

吉沢

一番マクロな、国家をまたぐ銀行が超国家銀行

直近では、ギリシャやポルトガルに救済融資を実施しています。

2.中央銀行

その国・地域で利用される通貨(銀行券)を発行する発券銀行と言われる銀行です。その他、政府や民間銀行に対してお金の貸し借りを行うため「政府の銀行」や「銀行の銀行」とも呼ばれます。

後ほど詳しく説明しますが、中央銀行は国の金融と経済を理解する上で最重要な銀行です。

吉沢

馴染みは薄いけど、経済全体を操作するのが中央銀行なんだよね〜

日本では「日本銀行」、アメリカでは「アメリカ連邦準備制度(FED)」、イギリスでは「イングランド銀行」が中央銀行であり、それぞれ「円、ドル、ポンド」を発行しています。

3.民間銀行

先程解説した一般的な銀行のこと。三井住友銀行や、ゆうちょ銀行などが該当します。こちらの銀行も、中央銀行と関わり合いながら経済に影響を与えます。後ほど、解説していきます。

4.その他の銀行

投資銀行や個人銀行など。主要な登場人物ではないのでここでは詳しく紹介しません。

特に重要な中央銀行の業務と、経済全体に及ぼす影響について勉強していきましょう!

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中央銀行の役割と経済の安定

【中央銀行の業務】
為替介入
金利の調節
通貨量の調節
⇨通貨価値と雇用の安定

中央銀行の中心的な役割は、各種政策により「金利」と「市場に流れる通貨の量」を調節することです。これによりインフレ/デフレをコントロールし「通貨価値(物価)の安定」や「雇用の確保」を目的とします。

「第一章:お金の歴史」で、管理通貨制度では国の信用のみによって通貨の価値が決まると勉強しましたよね。その”信用”の正体が「中央銀行の金利・通貨量調節に伴う通貨価値(物価)の安定」なのです。

吉沢

信用だけで成り立つ通貨に、信用を与える存在が中央銀行なんだね

なお、金利と通貨の量を調整する政策には、以下のものがあります。

【中央銀行の政策】
政策金利の操作
公開市場操作

上記の政策によるインフレ・デフレへの影響を理解するためには、中央銀行と政府および民間銀行、さらに企業や個人との関わり合いを理解する必要があります。まず、この関わり合いを勉強していきましょう。

中央銀行を中心とした政府・民間銀行・企業・個人との関わり合い

中央銀行を中心とした関わり合いを簡易的な図にまとめたのがこちら↓

各機関の金融的な関わり合い

それぞれの間の関係性について、以下のポイントから簡単に整理したいと思います。

1.政府と中央銀行
2.民間銀行と中央銀行
3.政府と民間銀行
4.民間銀行と個人・企業

1.政府と中央銀行

政府は中央銀行に、「政府預金」という口座を設けています。この口座に我々が納めた税金・社会保険料などを入れ、公共事業費・年金などはこの口座から支払を行っています。

吉沢

「政府の銀行」としての役割がここだね

2.民間銀行と中央銀行

民間銀行は中央銀行に、「日銀当座預金」という口座を設けており、日銀と民間銀行の間でお金の貸し借りが行われています。この時、お金の貸し借りに適応される金利を「政策金利」といいます。先に述べたように、政策金利の調整が日銀の金融政策の柱となっています。

七瀬

政策金利って民間銀行と中央銀行の間の金利のことだったんだ!

吉沢

「銀行の銀行」としての役割がここだね

また、中央銀行は民間銀行との間で債権(ほとんどの場合国債)の売買を行っています。この売買のことを「公開市場操作」といいます。先に述べたように、公開市場操作も日銀の金融政策の柱です。

七瀬

公開市場操作は民間銀行と中央銀行間の国債のやりとりだったのね・・・

3.政府と民間銀行

民間銀行は大衆から集めた預金の “運用先” として、政府の国債を購入しています。

すなわち、預金に伴い「消費者→銀行→政府」というお金の流れが成立し、預金は政府の資金調達手段の1つという見方ができます。政府が発行した国債を、民間銀行が集めた預金で購入するということです。

「預金金利と国債金利の差額」が民間銀行の儲けになります。

4.民間銀行と個人・企業

個人や企業は民間銀行に口座を開設し「預金」としてお金を預けます。この時の金利を預金金利といいます。また、民間銀行は個人や企業に「融資」としてお金を貸し出します。この時の金利を貸出金利といいます。

各機関の金融的な関わり合い|再掲

先にも述べましたが、「預金金利と貸出金利の差額」が民間銀行の儲けになります。

上記の関係性を理解した上で、日銀の政策が経済にどのような影響を及ぼすか勉強しましょう。なお、金融政策の影響を考えるには『民間銀行の視点』で考えると理解しやすいです。

吉沢

『民間銀行は借りたお金と貸したお金の金利差で儲ける』ということを思い出してね

政策金利の操作によるインフレ・デフレへの影響

政策金利とインフレ・デフレへの影響を理解しやすいように、以下の2つの事例を考えてみましょう。

①高金利の影響:
政策金利が10%、預金金利が1%

②低金利の影響:
政策金利が−1%、預金金利が0%

1.政策金利が高金利の場合

例えば政策金利が10%、預金金利が1%の場合を考えます。この場合、民間銀行は個人・企業から集めた預金を日銀に預けるだけで、「10ー1=9%」の金利を得ることが出来ます。

吉沢

ボロ儲けだよね

政策金利とインフレ・デフレ

当然、民間銀行の視点では『もっと預金をしてもらいたい』と考えます。そこで、もっと預金をしてもらうために預金金利の引き上げを行います。仮に3%に引き上げたとしましょう。

個人・企業は銀行に預金するだけで3%の金利がもらえるので、預金額を増やすことになります。そうすると、市場に出回っているお金(株など)の多くが民間銀行に集まり、更にそれが日本銀行に預けられます。

すなわち、政策金利が高いと「市場→民間銀行→日本銀行」というお金の流れが成り立つのです。

吉沢

高金利だと市場のお金が減り、株価が下がるよ

また、銀行が個人や企業に融資する場合、貸出金利は最低でも政策金利(この例だと10%)以上になります。政策金利以下の場合、中央銀行に預けたほうが儲かるからです。

個人や企業からするとお金が借りづらくなり、やはり市場に出回るお金が減少します。

吉沢

貸出の側面でも、高金利だと市場のお金が減り株価が下がるよ

市場のお金が減るとお金の相対的な価値が上がり、物価が下がります。すなわち「高金利→市場のお金減少→お金の価値上昇→物価低下(デフレ)」という流れで、デフレに繋がるのです。

吉沢

政策金利を上げることを金融引き締めと言います

2.政策金利が低金利の場合

例えば政策金利が−1%、預金金利が0%のマイナス金利状態を考えます。この場合、民間銀行は集めた預金を中央銀行に預けると「ー1ー0=ー1%」の損失を被ります。

吉沢

銀行にとってはたまったもんじゃないよね

政策金利とインフレ・デフレ|再掲

当然、民間銀行の視点では『集めた預金をなんとか貸し出したい』と考えます。そこで、個人や企業がお金を借りやすくするために、貸出金利を低く設定します。仮に2%としましょう。

個人・企業は銀行から2%の低金利でお金を借りられるので、お金を借りて積極的な事業投資を行います。そうすると、市場に出回るお金の量が多くなります。

すなわち、政策金利が低いと「中央銀行→民間銀行→市場」というお金の流れが成り立つのです。

吉沢

低金利だと市場のお金が増え、株価が上がるよ

市場のお金が増えるとお金の相対的な価値が下がり、物価が上がります。すなわち「低金利→市場のお金増加→お金の価値下落→物価上昇(インフレ)」という流れで、インフレに繋がるのです。

吉沢

政策金利を下げることを金融緩和と言います

政策金利では、上記のようなしくみでインフレ・デフレを調節し、物価の安定を図っています。

公開市場操作によるインフレ・デフレへの影響

続いて、公開市場操作とインフレ・デフレへの影響を見ていきましょう。公開市場操作には「買いオペレーション」と「売りオペレーション」があります。

①買いオペレーション:
中央銀行が民間銀行から国債(や社債ETFなど)を購入するオペレーション。

②売りオペレーション:
中央銀行が民間銀行に国債(や社債ETF・日銀の手形など)を売却するオペレーション。

1.買いオペレーションによる影響

買いオペでは、中央銀行が民間銀行から国債(や社債ETFなど)を購入します。従って、民間銀行に多額の資金が供給されることになります。

公開市場操作とインフレ・デフレ

民間銀行の視点では、『お金が余るので資金を貸し出したい』と考えます。そこで、個人や企業がお金を借りやすくするために、貸出金利を低く設定します。以降の流れは「政策金利が低金利」の場合と同じです。

吉沢

政策金利が低くなったり、資金が余ったりしたら、民間銀行は貸し出したくなるんだね

すなわち、買いオペで民間銀行に資金が供給されると「中央銀行→民間銀行→市場」というお金の流れが成立し、お金の価値が下がってインフレに繋がるのです。

2.売りオペレーションによる影響

売りオペでは買いオペの正反対の現象が起こります。中央銀行が民間銀行に国債(や社債ETFなど)を売却するので、資金は中央銀行に吸収されます。

公開市場操作とインフレ・デフレ|再掲

民間銀行の視点では、貸し出せる資金が少なくなるので『なるべくいい条件で貸し出したい』と考えます。そこで、貸出金利を高く設定して、いい条件の場所にだけ融資を行います。以降の流れは「政策金利が高金利」の場合と同じです。

吉沢

政策金利が高くなったり、資金が少なくなったら、民間銀行は貸し出さなくなるんだね

すなわち、売りオペで民間銀行から資金が吸収されると「市場→民間銀行→中央銀行」というお金の流れが成立し、お金の価値が上がってデフレに繋がるのです。

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まとめ

以上、本章を2文にまとめると以下のようになります。

・民間銀行は「預金」により個人や企業からお金を「借金」として集め、「融資」や「国債購入」を行うことで金利差を儲ける。

・中央銀行の「政策金利」や「公開市場操作」により、民間銀行の「お金の貸しやすさ」が変わり、それが経済全体に影響を与える。

いかがでしたでしょうか?銀行や貯金に対する今までの考え方が一変したのではないでしょうか?

上記のような多面的な知識を身につけ、効率的に資産を運用していきたいですよね。今後もお金の教養を身につけていける記事を連載して行きますので、宜しくおねがいします!!

次回『第五章:市場とお金

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