今回は政府(政治)とお金の関係について記載していきたいと思います。
前章をお読みでない方は、以下のリンクからお読み頂けますと幸いです。
一連の記事を読むことで、読者の皆様のお金に関する教養に貢献できるよう最善を努めます!
※参考図書はこの超超超分厚い名著『お金と人生』↓
ではいきましょう!!
選挙とお金
【選挙とお金の関わり】
選挙費用:億単位の莫大な金額
お金の用途:広告や事務費用
財源:個人や企業からの提供
政府とお金の関わりに入る前に、政府が誕生する”選挙”とお金の関わりについて勉強していきましょう。
意識することは少ないかもしれませんが、選挙には莫大な費用がかかります。例えば2012年に行われたアメリカの大統領選挙では、各候補者が10億ドルものお金を選挙戦に使用しています。
1000億円・・・桁違いだね。
選挙において、お金はテレビ広告・SNS・地域事業所ネットワークなどのPR活動、集計ボード・選挙当日の勧誘などの費用に使用されています。当然、お金を沢山持っている方がPRできる機会も多く選挙を有利に進めることができるので、資金の量は選挙にとって重要な因子になります。
広告はとってもお金がかかるけど、目にする回数が多いほうが親近感湧くよね〜
では、上記の財源はどこから来ているのでしょうか?
実は、これらのお金の大部分は政党助成金、個人献金や企業献金によって集められています。企業献金とは政治活動を支える目的で、企業が政党に資金を提供することです。当然、企業側にとって都合のいい政策を掲げる政治家に献金することになります。
企業にとってはある種のロビイング活動なのですが、潤沢な資金を持っている企業に有利な政治家が選ばれやすくなるという問題点があります。
そんな背景もあって、民主党は2009年の衆院選公約に「企業団体献金の全面禁止」を掲げていたよ。実現できなかったけど。
結果的に得票数が多かった政治家が選ばれたり、政党が政権を握ることになります。
まとめると選挙では企業や個人の思惑が複雑に絡み合った資金が政治家に集まり、政治家は集まった資金を駆使してPR活動を行い、結果的に票を多く集めた政党が政権を握るという構造になっています。
このようにマクロな視点で考えると「政治は大きなビジネス」の側面を持っていると言えそうです。
巨大ビジネスだね。。。
政府とお金の関係|国の経営
【政府の経営】
税金:国民からの収入
予算:支出の計画
借金:債権発行による資金調達(収入)
上記のような流れを経て誕生した政府。
その大きな役目に国家の経営(お金の収支管理)があります。すなわち『国民に税金を課し、それを賢く使う(予算の策定)ことで国民の生活を守ると共に発展に導くこと』が国家の役目なのです。
集めたお金を国防、社会保障や水道などの基礎インフラ整備に使うんだよね
税による収入がなければ、どんな政府も国ごと崩壊してしまいます。さらに、昨今では第三の要素として『お金を借りること』が政府にとって不可欠な技術になっています。
これら「税金」「予算」「借金」の3要素の決定&経営が政府の役目であり、株・債券市場の影響にさらされる国の経済を堅実に管理する責任を伴っています。
税収だけでは予算を執行出来ないから、不足分を借金(債権)で賄っているよね
これら3つの要素について詳しく見ていきましょう。
税金|国民からお金を集める
税金には様々な種類のものがあります。代表的なものとしては「消費税」「所得税/法人税」「相続税/贈与税」「その他酒税など」が挙げられます。
1.消費税
商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く平等に課税される税で、消費者が負担し事業者が納付します。皆様に最も馴染み深い税の1つで、2019年に税率が5%から10%に引き上げられたことで話題になりました。
消費税は収入や資産量によらず、全国民に平等に課せられる税だよね
2.所得税/法人税
所得税は個人の所得に課せられる税金で、会社員・公務員・パートやアルバイトの給与、個人事業主の事業収入などが対象となります。法人税は企業や組合などの法人に対して課せられる税金です。
計算方法は異なりますが、どちらも累進課税という制度を採用しています。
累進課税とは、課税の対象金額が多くなるほど税率が高くなる方式のことです。所得が高い人ほど多額の税金を支払うことから、経済格差の緩和手段として利用されています。所得の再分配の一種です。
年収900万から急に税率高いよね・・・(笑)
3.相続税/贈与税
相続税は、亡くなられた親などから、お金や土地などの財産を受け継いだ場合に、受け取った財産にかかる税のことです。
贈与税は、個人から贈与により財産を取得した場合に、その財産に課される税です。生前に贈与することで相続税を逃れようとする行為を防ぐという意味で、相続税を補完する役割を持ちます。
生前でも死後でも、財産を渡せば税金がかかるってことだね
上記の税も累進課税を採用しており、資産を再分配する機能があります。相続した財産が大きいほど相続税額が大きくなるので、生まれた家庭の経済状況による差を縮小させ格差の固定化を防止する機能があります。
格差の固定化を防止するのが狙いなんだね
4.その他の税
その他、酒税・たばこ税・関税など、生活に密接に関わる税金があります。
上記のような『経済が動けばそれに税を課せ!』というのが税金であり、政府の収益の柱になっています。以下に示すように、2022年度の日本では約65兆円が税収として集められています↓
所得税、法人税、消費税が大きな柱なんだね
コラム〜宝くじは逆累進課税〜
宝くじは即席の富とお金の心配からの解放を約束してくれるため、より貧しい人が夢をみて購入していきます。しかし、現実に宝くじは『ボロ儲け』の商売であり、あまりに運営側が得をしすぎることから民間での運用が禁止されている国が多いのです。
貧しいものに収入に見合わない支出を強い、報酬を手にするチャンスを与えないことから、別名『逆累進課税』と揶揄されています。
宝くじは数ある金融商品の中でも絶対に買ってはいけないものの1つなのです。
賢く使う|予算の策定
【国家予算の大枠】
社会保障費:年金、医療などの社会負担
地方交付税:地域格差を無くすための仕組み
公共事業費:民間に任せられない事業の費用
文教&技術振興:教育と技術開発に対する支援
防衛費:他国の侵略に対抗するための費用
国家の役目は『国民の生活を守ると共に発展に導くこと』と記載しましたが、具体的には「社会保障」「地方交付税」「公共事業」「文教&技術振興」「防衛」の大きく5つの用途に当てられています。
それぞれ詳しく見ていきましょう!
1.社会保障
社会保障は、国の歳出の約1/3を占める最大の支出項目であり、年金、医療、介護、子ども・子育てなどの分野からなります。特に日本では高齢化に伴い社会保障費が年々膨らんでいます。
中でも大きな割合を占めるのが『年金と医療』です。さらに「ファーストフード」や「食の安全性」の問題から、早期に健康を害するケースも増加しており、医療費の増加に拍車をかけている現状があります。
食事の勉強すれば分かるけど、市販で食べれる物ってほとんどないもんね。
ちなみに、消費税増税で増えた税収は全てこの社会保障に当てられています。
今後ますます、社会保障費は増加していくと予想されます。
2.地方交付税
地方交付税は、地方団体間の財源のバランスを調整し、どの地域に住む国民にも一定の行政サービスを提供できるよう、すべての地方団体が一定水準の財源を確保するための制度です。いわば「地方間の経済格差の緩和手段」になります。
地方交付税の総額は法律(地方交付税法第6条)によって半自動的に決定します。すなわち「所得税・法人税の33.1%、酒税の50%、消費税の19.5%、地方法人税の全額」が当てられています。
田舎に行ったら図書館がなかった・・・なんてことがないようにしているんだね
3.公共事業
公共事業とは、国や地方公共団体が行う、社会資本の建設および維持のための事業のことです。社会資本は「産業基盤関係」「生活基盤関係」「国土保全関係」に大別され、以下の特徴があります。
【社会資本】
産業基盤関係:
鉄道・道路など産業の基盤になるインフラ整備
生活基盤関係:
学校・上下水道・公園など、国民生活の質をあげるもの
国土保全関係:
治山治水・都市の防災など、国土の安全確保
基本的に、民間企業(資本主義経済)に任せられない事業が公共事業です。
例えば水道が民営化したら『水道料金が跳ね上がり、一部の人が生活できなくなる』ような事態が起こりうるよね
4.文教&技術振興
文教&技術振興とは、国力の基盤となる教育と技術の開発に対する支援のことです。
教育の面では、 「小中高まで教育費の無償化」「国立大学の運営費補助」「AI・デジタル教育推進」などに使用されています。
2010年の高校無償化が記憶に新しいよね〜
技術振興の面では、「博士後期課程学生の処遇向上と研究環境確保」「科学研究費助成事業」「宇宙・航空・原子力分野の研究開発費支援」など、次世代の技術を開発する人材や開発費用の支援に当てられています。
特に原子力&宇宙分野の支援金額がとっても大きいよ!
上記の予算は、いずれも優れた人材・技術を輩出し、国力を高めるための支援といえるでしょう。
5.防衛費
防衛費とは、諸外国の日本に対する侵略を防ぎ、国の安全を確保するための費用のことです。昨今では、中国・北朝鮮・ロシアによる軍事活動の活発化等により、緊張した状態にあります。
よくニュースで目にするよね
なお最近の国防は「陸・海・空」のみならず、「宇宙・サイバー・電磁波」といった新たな領域を組み合わせたものになっています。各国では、新たな領域における技術を追求しており、そのための人材育成や設備投資の支援を行っています。
サイバー戦争とか、宇宙開発が盛んになっているのもこういった背景からだよね
ところで、日本の国防費は5〜7兆円程度で、GDPに対して1.2%程度の割合を占めています。
他の諸先進国のGDPに対する国防費は以下のとおりです↓
日本に比べて他国の防衛費はやや高い傾向にあり、特に米国は国防に対する意識が高いことが伺えます。
最近日本では、国防費をGDPに対して2%(約11兆円)まで引き上げようとする運動があるよね
まとめると、上記「社会保障」「地方交付税」「公共事業」「文教&技術振興」「防衛」の5つの柱によって国民の生活保障および発展を促し、さらに国債費の返済などを考えた上で予算案は策定されています。
借金|債権の発行
【国債の発行】
理由:税収入で賄えない資金の調達
問題点:次世代が借金の負担をすること
ポイント:対GDP比、資産とのバランス、購入者
さて、国の財政は基本的に上記で述べた「税収」と「予算(支出)」で成り立っています。しかし、上記の予算を執行するために税収だけではお金が足りない事態がよく起こります。そのため、不足した分を借りる必要がでてきます。
税収だけで賄えている国は稀だよ。ノルウェーとかがそうだね。
そこで、国が借用書である「債券」を発行し、お金を持っている人や機関から「借金」をするわけです。簡単に言うと「あなたにお金を借ります。約束の期間までにお返ししますし利息も払います」という約束の証書が債券です。なお、国が発行する債権のことを国債といいます。
国債は負担の先送りであり、増税や教育費の減少などにより将来世代の負担が増加することが問題視されています。国債の問題を考える際、以下の3点が重要に指標になります。
1.GDPに対する国債の比率
2.国の資産と国債のバランス
3.国債購入者は誰か
1.GDPに対する国債の比率
国債は金額そのものよりも、GDPに対する比率が重要な指標になります。GDPは「国がお金を稼ぐ力」ですので、稼ぐ力に対して借金がどれくらいあるかを指標にするわけです。
例えば、収入2000万の人が『4000万円借金』してるのと、
収入100万円の人が『2000万円借金』してるのでは、意味合いが違うよね。
以下に、日本の国債残高と、他の先進諸国のGDPに対する国債の比率を示します↓
日本は国債残高も高く、さらにGDPに対する比率も高いということがわかります。
日本は借金まみれで、稼ぐ力に対する借金も大きいんだよね
2.国の資産と国債のバランス
さて、日本の借金がとても多いことは分かりましたが、資産の量と比べてどうなのでしょうか?会計学に見られるように、借金はそれ単体ではなく資産とのバランスで考えることが重要です。
例えば「銀行に100万円借金」してても、「1000万円分の株式」を持ってたら全然大丈夫だよね
日本政府が所持する金融資産はこちら↓
2021年時点で、証券や債権による資産を、なんと729兆円も所持しています。しかもその資産額は右肩上がりに増えていることが伺えます。
上記の資産を考慮すると、実質的な政府の借金は約300兆円(GDPの60%程度)となり、至って健全な財政状況であることが分かります。
日本政府の財政が健全だから債券市場からの評価が高く、日本国債は超低利回りのままなんだよね〜
3.国債購入者は誰か
さらに、「誰に」借金をしているのかが重要なポイントになります。日本国債の買い手を以下に示します↓
日本国債の買い手の約半分は日本銀行、保険・年金基金が20.47%、銀行等が14.32%、海外が13.14%、公的年金が3.27%となっており、殆ど日本人が購入していることが分かります。
すなわち、日本政府は “日本人” に “円” で借金をしているのです。当然円で賄われていますから、満期になったときは「日本政府がお金を印刷して返すだけで大丈夫」ということになります。
日本人に円で借金してるうちは、大きな問題にならないんだよね
ちなみに、銀行・保険会社などの金融機関や年金は、私たちから集めたお金の一部を日本国債で運用していることがわかります。
4章で説明するけど、保険会社や銀行の正体が垣間見えるよね〜(笑)
上記の3点をまとめると、日本は稼ぐ力に対して大きな額の借金を有しているが、資産の量が多く、借り手の大半が日本人なので、対外的な国家破綻に直結する状態ではないと言えます。この辺は麻生太郎さんがとっても分かりやすく解説なさっています。
「立体的な知識のない人が、人々の不安を煽っているだけ」だったんだね〜
ただし、膨れ上がる借金と海外投資家による国債購入が増加した場合は国家破綻に繋がる懸念がありますので、財政の改善は必要だと考えられます。
砂糖税の導入など、税収引き上げが最初なのかな〜
ちなみに国家が破綻して借金の返済が困難になった場合、『債務不履行』というものが行われます。債務不履行とは、債券の発行者が元本や利息の支払いを遅延したり、停止したあげく、元本の返還が不能となる状態のことです。
「借りてたお金返せなくなった!許してね」ってことです。
債務不履行を行うと、貸し手の金融機関や投資家が貸金を取り戻せず、多額の損失を被ることがあります。従って国は信用を失い、他国からの緊縮が入ると共に、資金調達がしづらくなるというデメリットが生じます。
最近だとギリシャの財政問題が話題になったよね。
まとめ
いかがでしたか?選挙、政府とお金、日本の財政に関して、今までの見解と異なる部分が多かったのではないでしょうか?
上記のような多面的な知識を身につけ、選挙なり政治に対する自分の見解を持ちたいですよね。今後もお金の教養を身につけていける記事を連載して行きますので、宜しくおねがいします!!
次回『第四章:銀行業とお金の関係』